コーチとしての活躍を期すミズノアドバイザリースタッフ田原彰悟インタビュー・後編

2026年1月の全日本選手権で選手としての現役生活に終止符を打ち、現在は日本代表・篠塚大登のプライベートコーチとして活躍する田原彰悟。2026年4月からミズノアドバイザリースタッフとして新たなキャリアをスタートさせた彼の現在地を、インタビューで紹介する。
後編の今回は、田原が選手引退を決めた後、篠塚の専属コーチを引き受けた経緯や、今後の目標について聞いた。
(聞き手・文/卓球王国編集部 小川勇気)
――現役引退から、篠塚大登選手の専属コーチに就任されるまでの経緯は、どのようなものだったのでしょうか?
引退後は当初、お世話になった協和キリンで社業に専念しながら、卓球に関わろうと考えていました。しかし、2025年の11月頃、愛知工業大の3歳下の後輩である篠塚大登選手から「海外遠征に帯同してくれるコーチを探しているんですが、田原さんはコーチになってくれませんか?」と連絡をもらいました。
その話を聞いた瞬間に私は、「選手としては叶わなかった〈世界で戦う〉という舞台に、コーチとして挑戦できるチャンスだ!」と感じました。まだ若い今だからこそ、夢を追いかけたいと思い、ほぼ即決で引き受けたのです。
その後、篠塚選手と一緒に私も東都観光バスに所属させていただけるという話になり、コーチ(兼・団体戦の選手)として契約を結ぶ運びとなりました。

――篠塚選手との関係性や、指導にあたって心がけているご自身のスタンスについて教えてください。
就任前のミーティングでは、篠塚選手から「『コーチとして教える』というより、友達のような距離感でいてほしい。自分より熱くなりすぎないようにしてもらえると助かります」と言われました。
そのため、私は彼に上から指示を出すのではなく、本人の自主性を尊重し、気づいた点を少し提案する程度に留めています。
篠塚選手は自分で練習メニューや技術を追求できる非常に優秀な選手です。むしろ私のほうが技術的な打ち方などを教えてもらう機会もあるほどです。試合のベンチでも、過度なアドバイスはせず、彼が落ち着いて思考できるよう見守るスタイルをとっています。
現在のところ、私の主な役割は、航空券の手配や大会のエントリーなどのサポート面を徹底し、彼が100%の力でプレーできるよう、周辺環境を整えること。そのうえで、篠塚選手に思う存分その力を発揮してもらいたいと思っています。

――2026年4月のコーチ就任から半年が経過しましたが、これまでの成果や変化をどう感じていますか?
4月に就任して最初のWTTコンテンダー(中国・太原大会)では温瑞博選手(中国)に敗れましたが、そこから2人で試行錯誤を重ねた結果、7月のUSスマッシュでは温瑞博選手にリベンジできました。
また、F.ルブラン選手(フランス)には、6月の「WTTスターコンテンダーリュブリャナ」と8月の「WTTチャンピオンズ横浜」で2連勝するなど、確実に成果となって表れています。篠塚選手自身は大いに自信を深めていますし、私も手応えを感じています。
――今年4月からスタートしたミズノとの契約についてもお聞かせください。
協和キリン時代にお世話になったミズノ担当者の方とご縁があり、今年4月から契約を結ばせていただきました。ウェアやシューズ、ラケットはもちろん、遠征に使うキャリーバッグに至るまで、非常に質の高い製品をご提供いただいています。ウェアに関しては本当に着心地が良いので、私服やパジャマとしても活用しており、1日の生活の大部分をミズノ製品とともに過ごしています。
現在は海外遠征が重なり、講習会などの活動がまだできていないため、YouTubeやSNSなどを通じて、ミズノ製品の魅力を積極的にPRしていきたいと考えています。

――最後に、今後篠塚選手とともに目指す目標と、田原コーチご自身の将来像について教えてください。
篠塚選手に関しては、2027年世界選手権アスタナ大会に向けての調整を行いつつ、世界ランキングの上昇を目指していきます。最終的な目標としては、2028年ロサンゼルスオリンピックの代表入りをターゲットに掲げています。
自分の指導者人生において、彼のようなレベルの高い選手をサポートできる機会は絶好のチャンスだと思っていますし、今が一番の頑張り時だという自覚を持っています。でも、自分が気合を入れすぎて篠塚選手に過度なプレッシャーを与えないよう注意しないといけないですね(笑)。とにかく彼が100%の力を発揮できるよう、縁の下からしっかり支え続けたいと思います。
そして、この貴重な経験を足がかりとして、私自身も指導者としてさらなる高みへ成長していきたいと考えています。
選手として届かなかった「世界で勝つ」という目標に向かって、篠塚大登とともに意欲的に歩んでいる田原彰悟。彼の卓球人生の「第2章」が、輝かしいものになることを願いたい。
(了)

プロフィール
田原彰悟 たはら・しょうご
2000年9月26日生まれ、千葉県出身。小学4年の時、クラブ「マイダス」で卓球を始める。尾久八幡中、愛工大名電高、愛知工業大卒。実業団の協和キリンで3年プレーしたのち、個人戦の選手としては現役を引退。2026年春から東都観光バスに所属し、日本代表・篠塚大登のプライベートコーチを務める。同年4月より、ミズノとアドバイザリー契約を結んでいる


